2008年愁介誕生日企画・独占インタビュー ...5

────あのぉ、よくお金持ちの若い殿方は、プロのコールガールを買ったりするというお話を聞きますが、その辺はどうなのですか?
「そういう暇があればいいけどな。基本的に完全オフの日は、月に一日くらいしかねぇ。女を抱いてる暇があったら、その時間は寝てる」

 
────な、なるほど、そうですよね
「恋人を作れ、とは、よくセシルに言われたよ。セシルは性に対して結構リベラルで、成人男子は定期的に溜まった物を出さないと、体のサイクルが狂って頭のキレも悪くなる、っつってな、積極的に女を抱くように言ってきた。抱けって言われたって、相手いなきゃしょうがねぇだろ。んで俺のスタッフに、俺に抱かれたい奴を募集したら、マギーと他に数人手を挙げてきやがった。マギーは絶対有り得ねぇって思ったが、何を考えてんのかセシルがそれを許して、今ではマギーを含めた3人と関係を持ってる」

 
────(開いた口が塞がらない)セシルさんて、変わったお父様なんですね
「マギーもさ。恋人がいるくせに俺に抱かれていいのか? って聞いたら、あいつなんて答えたと思う?
 『Because it's a part of the work, I don't have any problem.』だとよ。他の2人も似たようなこと言ってた。欧州ってどういう国が揃ってんだよ!」

 
────か、変わってますね(苦笑)
「日本人の俺からは信じらんねぇよ!」

 
────それでも上げ膳は頂いたわけですね
「(溜め息をついて)俺も男だからな。確かにセシルの言うとおり、女を抱くと頭がスッキリするんだよ。トレーニングと似た効果があるのは分かるが、いつも抱いてるって訳じゃねぇ。大体月2回くらいだな」

 
────それ、響子さんに言えます?
「さあな、俺と響子がその時にどういう関係になっているかによるだろ。あいつと深い関係になってれば、言うかもしれない」

 
────もし響子さんと深い関係になったら、彼女たちはお役御免ですか?
「当たり前だろうが! 今までなに聞いてたんだ、お前は!」

 
────(怒られちゃった…)すみません。多分ツッコミがたくさん来るのではないかと思いまして(苦笑)
「俺はそんなに信用出来ねぇか?」

 
────いえ、そういう訳ではないですけど、一応訊いておいた方がいいかな…と
「要は信用してねぇってことじゃねぇか」

 
────(マズイ、だんだん機嫌が悪くなってきた。まいいや、ここまで来たらついでに訊いちゃえ)あのですね、もし何かの拍子で、エインズワースの女性スタッフを抱いてたことが、響子さんの耳に入ったらどうします?
「(ますます不機嫌になって)つまり、俺の部下が俺を裏切るって言いたいのか?」

 
────い、いえ! そうではなくて!
「そういうことだろうが。大体、相手をスタッフの中から選んだのだって、セキュリティを考えてのことだ。いくらエインズワースのセキュリティ・チェックが万全だとしても、外部の人間を入れれば情報なんてどこからでも流れていく。それを防ぐためだ。だからそんなことは間違っても有り得ねぇし、そんなことをしたらそいつはクビだ! ……同時に、その時は、俺に人を見る目がなかったってことでもあるがな」

 
────(そういうところまでは気にしなかった。悪いこと訊いちゃったな。ここは素直に謝っておこう)すみません、素人が余計な口出しをしました
「分かりゃいい」

 
────(うう、なんかやりづらくなったかな? ホントに余計なことを訊いてしまった、反省)えっとでは、次の質問にいきますね
「とっとと行け」

 
────は、はい!(って言っても、次はこの質問か……なんて間の悪い…)えっと、響子さんにはよく意地悪をしていますが、そのエインズワースの女性たちにも、ああいう意地悪はされるんですか? あと大学時代の恋人さんにはどうでした?
「(インタビュアーを例の殺人光線入りの鋭い眼光で睨む)………」

 
────あ、あの! おっしゃりたくなければ結構ですので、先行きますね!(ひぃ〜、怖いよぉ)
「(盛大な溜め息をついて、気分を落ち着ける)あれは響子限定だ。リアクションが面白ぇから、ついついやっちまうが」

 
────(こ、答えてはくれたけど、声が地を這ってるよ)あ、そ、そうなんですか
「大体、性格がハッキリしている女にああいう意地悪をすれば、最悪、喧嘩になるぞ」

 
────(あれ? 何となく今までの感じと同じに聞こえる。機嫌が戻ってきたかな?)そうおっしゃるということは、そういう経験がおありなんですか?
「大学時代の彼女と。うっかり言ったら1ヶ月、口を利いてもらえなかった」

 
────それでも響子さんにはおっしゃっているということは
「レオンに言われた。俺は響子に甘えているんだそうだ。そう言っても怒らない女だと、無意識に感じているんだと。言われてみりゃ、そういうところもありそうだ」

 
──── その響子さんについて、色々質問が来ていますので、具体的にお伺いしますね
「(溜め息をついて)もう何でもいいぜ。ここまで暴露したからな」

 
────では早速! 一番多かった質問は、『初めての時と二度目に会った時との心境、あるいは印象はどんなものでしたか?』というものですが……
「響子とは2年前が初対面だ。酔い潰れた杉本を引き摺る様にして、繁華街を歩いていた。根性ある女だと思ったぜ。何しろ細腕の女が、女とはいえ人一人担いで歩こうってんだからな。危なっかしくて見ちゃらんなかった。案の定、途中で杉本の体に潰された。あいつが何キロあるのか知らねぇが、体重分の重さが響子の背中に乗っかってたんだからな。そりゃ潰されるだろ。それでも響子は杉本を抱えて、必死に起き上がろうとしていた。誰も手を貸しちゃくれねぇのに。ありゃマジで、自分のアパートに連れて帰るつもりだったんだな。だから手を貸した」

 
────その頃は、日本でお仕事されてたんですか?
「ああ……(しばらく間をおいて)その時の俺は、エインズワースの総帥にさせられて1年目だった。EXTRAを読んでりゃ、大体のことは分かるだろ。色々あって、その時はセシルの計らいで日本で静養していた頃だ。っつっても、じきに復帰するって頃ではあったがな。あの日は、昔つるんでた連中が、日本にいるなら来いってんで飲み会に行った。日本に戻った頃から誘われちゃいたが、それこそ酒なんか飲める体じゃなかったし、外出も出来る状態じゃなかったからな」

 
────具体的にはどういう状態だったんですか?
「メシ食ってもすぐに吐く。執務室に入ると体が震える。周り外人だらけの状況に発狂しそうだった。その上ヒューズは無理矢理俺に仕事をさせようとして、体が受け付けねぇのに強引にメシ食わせようとするし、俺が脱走しないように24時間監視してた。あの中でよく半年も持ったと思うぜ。本当に狂っちまえば、楽だったかもしれねぇけどな。そんな俺を見兼ねて、セシルが半年間の期限付きで総帥代行を申し出てくれた。前総帥と現総帥代行の権限で、俺を日本に帰して静養する命令を出してくれた。日本に帰ると洸史が何も聞かずに碧を呼んで、俺を治してくれた」

 
────……壮絶ですね。でも、よく復帰出来ましたね。戻ることに不安などはなかったのですか?
「ないと言えば嘘になるが、指名された以上は生きてる限り最低10年はやらなきゃいけない。かと言って死ぬのも嫌だしな。ヒューズの方はセシルが説教してくれたし、俺が総帥の間は日本に本部を置くことを、各支部に納得させてくれたし、就任直後よりはかなり改善されたんで、まぁいいかと思った」

 
────……あなたも十分に変わっていますよね
「ん、そうか? やらなきゃいけない状況だったからな。仕方ねぇよ。セシルも、突然総帥に指名されて否応なしに就任したからな。お互い状況は同じさ。セシルの方が歳取ってた分、回りも納得して尽力したそうだが。その点だけは不公平だと思ったがな。セシルは俺を選んだことを、頭を下げて謝ってくれたから、別に恨みはねぇよ」

 
────ちょっと重い空気になってしまいましたね。話を元に戻しましょう。その時、響子さんのアパートに行って、加奈子さんに盛大に吐かれてしまったそうですね
「(笑)あれな。いきなりだったから驚いたぜ。響子の部屋に連れて行って、杉本の服を脱がせたんで「変態」だの「人間として最低」だのと罵倒された
 

 
────そもそも、なんで酔い潰れた女の子の服を脱がせたんですか?
「吐いた後だぜ、苦しいだろ。それに急性アルコール中毒にでもなってたらヤバイからな、体を冷やすために脱がせたんだ。響子もその時は動転していたからな、友人を守るためだったんだし、それは別に気にしてねぇ」

 
────その時は、どんな印象でした?
「正義感の強い娘、だな。見知らぬ男を罵倒する根性も持ってたし、なかなか好感の持てる女だったよ」

 
────じゃあ、その時に響子さんに惚れたんですか?
「いや、その時はそういう印象を持っただけで、別に惚れるとかそういうのはなかったぜ」

 
────なるほど。では、再会した時はどんな感じでした?
「久々に師匠に顔を見せようと思って店に行ったら、響子が酔い潰れてカウンターに突っ伏していた。2年前の女だってすぐに分かったぜ。あのまま店に置いとく訳にもいかねぇからな、始めは響子のアパートに連れて行こうと思ったが、考えが変わった」

 
────何故です?
「あいつの履歴書を見たからさ。酔い潰れたあいつを肩に担いだ時に鞄が落ちて、それを見付けた。アパートに連れて帰ったらそれっきりだろ。だからホテルに連れて行った。まさか垣崎が俺の女だと思い込むとは思わなかったが、説明するのも面倒だったんでそのままにしておいた。垣崎は未だに響子を俺の女だと思ってる。まぁ、実際そうなったんだが」

 
────その時は、2年前と比べてどうでした? 印象は
「自分に対しての自信のなさが如実に出ていたな。それを悪いとは思わなかった。ただ感じたのは、経験不足ってことだけだ。だから洸史の会社に入れることにした。洸史なら絶対に響子の性格を見抜くだろう。そうした上で、物になるように仕込むはずだ。あいつにしごかれて潰れた奴は、今まで見たことがねぇ」

 
────なんだかんだ言って、篁社長のことを信用しているんですね
「信用してなきゃ、社長なんかやらせねせよ」

 
────ごもっともです。それでは、いつ頃響子さんに惚れたのですか?
「多分、あいつに車内で別れの挨拶をされた時だろうな」

 
────Act.3のラストですね。勢いでキスまでしてましたが
「あの時に、響子が可愛いと思ったんだ。それで惚れたんだろうな」

 
────でも、杉本さんや渡辺さんは、その前から響子さんに惚れていると言ってましたが、それは何故だと思います?
「俺が自覚したのがその時だってことだろ。自分じゃ自分の気持ちはなかなか見えねぇもんだ。だからじゃねぇの?」

 
────その割りには、認めたくないとか子供っぽいことを言ってましたよね?
「じゃあお前は、周りから散々ああ言われて、素直に認めることが出来るかよ?」

 
──── う……た、確かに、あの状況で「うん、惚れてるんだ」とは言いにくいですよね
「そういうことだ」

 
────えーと、それでは。過労で熱を出したために屋外デートが出来なくなってしまいましたが、もし実現していたら、どんなデートをしてました?
「基本的には変わらない」

 
────はい? と言いますと?
「響子を俺んちに連れて行って、昼飯食って、響子が作ってくれりゃ尚よかったな。そんで一日ゆっくり過ごす。とにかく今は、どこかに行くとかよりも静かに過ごしたいと思っている。それでも、響子に行きたいところがあれば、そこへドライブすることはやぶさかじゃないぜ」

 
────なるほど、響子さんの望みならば、疲れなんか吹き飛ばすと
「……まぁそういうことだな」

 
────(表現が気に入らなかったのかな? 不機嫌な顔して)それではですね、響子さんにはどんな女性になってほしいですか?
「あいつが生きたい様に生きればいいと思ってるがな。俺の秘書として取り上げたら、洸史に恨まれそうだ(笑)。せっかく育て上げたのに! ってな」

 
────(笑)苦労していますものね。好きな女性が家で自分の帰りを待つ、なんていうのは男性にとっては憧れなのではないかと思いますが?
「それはもっと歳食ってからでいいだろ。若い内は、やりたいことをやってくのがいいと思うぜ」

 
────響子さんに望むものってありますか?
「もう少し自分の能力を自慢することと、俺の隣りにいても恥らわないようにする、ってことだな」

 
────彼女の性格では難しいように思いますが……
「そうでもない。きっかけがあれば変われるさ」

 
────そういうものですか?
「まだあいつには、人生を転換するような経験はないだろ。もっと簡単に言えば、自分の価値観が180度変わるような出来事だ。それがあいつに訪れたら、性格も変わる」

 
────それは今ではなくて?
「俺の女になったってことか? それは俺次第ってことだろ(ニヤリと笑って)」

 
────(い、今の笑みはどういう意味!?)では、これで最後になります。これは核心にせまる質問ですね。『響子さんへのプロポーズのXーDayは年内でしょうか? それとも年が明けてから?』
「年内っつっても後一ヶ月しかねぇじゃねぇか。大体、本編はもう年明けてるぞ」

 
──── では訊き方を変えましょう。30歳になるまでに、プロポーズしますか?
「さあな、こればっかりはその時になってみねぇと分からねぇよ。ただ、俺の立場から言えば、後1年以内ってのは無理だろう。俺が総帥になっての基盤は、まだ心もとない。それに、今の響子が総帥夫人になったとしても、周囲のプレッシャーに押し潰されるだけだ。あいつがそれを跳ね除けるくらい成長すればいいが、たとえそうなったとしても洸史の秘書としてはまだペーペーだからな。そっちの成長も見極めるとすれば、最短でも3年は必要だろう」

 
──── それでも、『プロポーズしない』とは言わないんですね(ニヤリと笑い)
「ちっ、最後の最後でしてやられたな。ああ、そういうことだ。多分な」

 
────(うはっ、フフンと鼻で笑われた。やっぱりヘッポコじゃ勝てません)今日は長い時間ありがとうございました。読者の方に、何かメッセージはありますか?
「ヘッポコに乗せられて、要らんことまでしゃべっちまった。まぁ俺ってのはこういう人間だ。管理人がヘッポコなんで、俺を読める日はそうそう多くねぇだろうが、今後は響子との絡みも多くなるだろ。俺もそれを期待してる。楽しみに待ってろ。じゃあな」
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